高気圧酸素治療
高気圧酸素治療とは、大気圧よりも高い気圧環境下に患者さんを収容し、高濃度の酸素吸入を行い種々の低酸素疾患を治療する特殊な酸素療法であり、当院は北毛で唯一この治療を行うことができる病院です。
他施設に先駆け、昭和60年9月より一人用高気圧酸素治療装置(ワンマンチャンバー)2基を稼働し、24時間体制で「安全の確保と苦痛のない、優しい治療」を念頭に入院患者さん・救急患者さんの治療にあたっています。 治療中は担当技士とコンタクトを取りながら安全に行っていきます。
適応疾患には、脳梗塞や一酸化炭素中毒、急性末梢血管障害(重症の熱傷や凍傷、コンパートメント症候群など)、ガス壊疽、重症頭部外傷、頭蓋内膿瘍、重症の低酸素脳症、腸閉塞、突発性難聴、難治性潰瘍を伴う末梢循環障害、顔面神経麻痺、脊髄・神経疾患、皮膚移植、骨髄炎または放射線障害など多岐にわたりその治療効果は大いに期待されています。
主な効果として、
①高酸素化(血中の酸素が増え、身体中に酸素が行き渡ります)
②抗菌作用(酸素にある抗菌作用により細菌の発育を阻害します)
③血管収縮(頭蓋内の圧力を減少させます。むくみにも効果があります)
④気泡縮小(圧力をかけることで身体中の気泡が小さくなります)
⑤新血管作成(血液中に多くの酸素が流れることで新しい毛細血管が作られ、血流阻害になっている組織に酸素を送れます)
などがあります。
適応疾患
(1)一連につき7回まで
- 減圧症または空気塞栓に対するもの(発症後一ヶ月以内)
(2)一連につき10回まで
- 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む)
- 重症南部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)または頭蓋内膿瘍
- 急性末梢血管障害
- 重症の熱傷または凍傷
- 広汎挫傷または中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
- コンパートメント症候群または圧挫症候群
- 脳梗塞
- 重症頭部外傷後もしくは開頭術後の意識障害または脳浮腫
- 重症の低酸素脳症
- 腸閉塞
(3)一連につき30回まで
- 網膜動脈閉塞症
- 突発性難聴
- 放射線または抗がん剤治療と併用される悪性腫瘍
- 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
- 皮膚移植
- 脊髄・神経疾患
- 骨髄炎または放射線障害
注意事項
1.次の品物は高気圧酸素治療室には持ち込まないでください。
- 発火源となる品物:各種カイロ、マッチ、ライター 等
- 引火の危険のある品物:セルロイド製品、金属製品、入れ歯 等
- 火傷の危険のある物:湯たんぽ
- 高い気圧で壊れる可能性のある物:時計、補聴器、万年筆 等
- その他の物品は、当治療室の職員にお尋ねください。
2.治療衣について
下着類は必ず綿100%の物を着用してください。ナイロン・テトロン・ポリエステル等の合成繊維製品は静電気を発生させ発火の危険がありますので絶対に避けてください。当治療室に専用の治療衣(綿100%)を用意しています。サイズはS~LLまであります。必要なかたは看護師までご連絡ください。
3.次の病気または妊娠の疑いがあるかたは必ずお知らせください
- 糖尿病→治療中に低血糖症状が発症する場合があります。
- てんかん→治療中に発作が起きる可能性があります。
- 妊娠初期→胎児に悪影響を及ぼすとされています。
- 気管支喘息(ぜんそく)→呼吸障害を起こします。
- 心不全→長時間横になっていると苦しくなる場合があります。
※治療中はマイクで話ができるため、異変等がありましたらお伝えください。