医療安全管理とは
医療の質の向上と安全の確保は、私たち医療者が取り組む最優先課題です。患者さんの安全を守り、高度な医療を真心を込めて提供させていただきます。更なる安全を推進する医療安全管理室と医療安全管理委員会メンバーがそれぞれの役割を遵守し、地域の皆様から信頼かつ求められる人材になれるよう今日も元気に医療安全活動をしています。
医療安全管理室の活動
「委員会」
医療安全管理委員会(月1回)
院長をはじめとする医療安全管理委員会メンバーで、事例検討、各部署の問題の報告・対策検討等を行い、今後の課題などの意見交換を行っています。
「KYT(院内巡視チーム)」
- 危険(K)、予知(Y)、トレーニング(T)とは、危険を危険と気付く感受性を磨き、危険に対する情報共有を行い、それを解決していく過程で問題解決能力を高め、作業行動の要所要所で指差し呼称を行うことにより集中力を高め、チームワークで実践への意欲を強める手法です。KYTのめざすところは、マナーの良い職場(現場)風土(体質)を、問題(危険)の先取りと問題解決に強いものにするところにあります。患者さん、職員に安心・安全を提供できるよう、医療安全活動に全力で取り組んでいます。
- チームリーダーを中心として、毎週院内を巡視します。前回問題となった箇所の改善が出来ているか、新たな問題となっている箇所が発生していないかなど、各部署のリスクマネージャーによる眼と違った視点で問題点を抽出します。また、毎月一度行われる委員会の中で活動報告を行っています。
- 公正で良質な医療の提供を目指し、職員に改善のための助言や指導を行い、その結果から達成度の報告をします。
- 改善場所を写真に収め、ファイリングして改善事項を指導し、改善結果やその後の経過も確認しています。
- 院内巡視活動中に職員が患者さん・ご家族さまのご意見を伺うことがあります。何か不備がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。
「転倒転落チーム」
転倒転落を防止し、患者さんの安全を確保します。
- 周知アンケートを実施し、転倒転落別予防策の周知させます。
- 看護部とリハビリテーション課で転倒転落別予防策の実施状況を確認します。
- 事例検討を行ない、委員会内で改善策の共有を図ります。(事例検討:3回/年以上実施)
「薬剤関連チーム」
薬剤を適切に使用し患者の安全を確保します。
- 6Rの認知度調査を継続的におこない、認知度の変化およびインシデント発生件数への影響調査をおこないます。
「チューブトラブルチーム」
適切なチューブ管理により、患者に有効な治療を提供する。
- 多発する事例に対し事例検討を行ないます。(3ヶ月に1回)
- 「適切なチューブ管理」の実施確認方法を検討します。
「医療安全による研修」
- 全職員を対象に年2回の医療安全研修を行っています。
- 新入職員は入職者オリエンテーションにおいて「医療安全にに関する基本的な考え方」「組織体制」などをテーマにそれぞれ1~2時間程度の勉強を行っています。
医療安全管理指針
第1条 総 則
基本理念
医療の現場では、その従事する者の僅かな不注意、或いは些細な判断ミスによって、医療上予想されない状況や、望ましくない事態を引き起こし、患者様の健康や、場合によっては生命を脅かす結果を招くことがある。 我々医療従事者には、第一に患者様の安全を確保し、患者様が安心して医療を受けることが出来る環境を維持する義務と、そのための不断の努力が求められている。また、それが単独であれ重複であれ、小さな過ちが医療事故というかたちとなることで患者様に実害を及ぼすことのないように、日常診療の過程において、二重、三重のチェックポイントを設け、医療安全に向けた行動における病院の全体的な仕組みを構築することが重要である。
本指針は、この「患者様の安全こそが他の何よりも優先される」という考え方の下に、それぞれの医療従事者の個人レベルでの事故防止対策と、施設全体に渡る組織横断的な事故防止対策の二つの対策を確実に推進することによって、医療事故の発生を未然に防止し、患者様が安心して安全且つ高度な医療を受けられることを目標とする。当院においては、病院長のリーダーシップの下、あらゆる職種においてそれぞれの立場からこの問題に真摯に取り組み、患者様の安全を確保しつつ必要な医療を迅速に提供していくという使命に、職員一人一人の不断の努力を要請するものである。
第2条 医療安全管理のための基本的な考え方
医療安全は、医療の質に関わる重要な課題である。また、安全な医療の提供は医療の基本となるものであり、当院及び職員個人が、医療安全の必要性・重要性を施設及び自分自身の課題と認識し、医療安全管理体制の確立を図り、安全な医療の遂行を徹底することがもっとも重要である。 このため、当院は、本指針に基づき、医療安全管理委員会及び医療安全管理室を設置し、医療安全管理体制を確立するとともに、当院関係者の協議のもとに、医療安全管理規程及び医療安全管理のためのマニュアルを作成する。また、インシデント事例及び医療事故の評価分析によりマニュアル等の定期的な見直し等を行い、医療安全管理の強化充実を図る。
第3条 用語の定義
- 医療安全管理規程
当院における医療安全管理体制、医療安全管理のための職員研修、医療事故対応等の医療安全管理のための基本方針を文書化したもので、医療安全管理委員会で策定及び改定する。 - マニュアル
当院において、本指針の第5から第7に記載されている医療安全管理のための具体的方策、医療事故発生時の具体的対応及び医療事故の評価と医療安全管理への反映等をまとめたものとする。マニュアルは、当院内の関係者の協議のもとに医療安全管理室で作成、点検及び見直しの提言等を行い、医療安全管理委員会で承認を受けるものとする。 - 医療事故
医療事故とは、医療に関わる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含し、医療行為と直接関係ない場合も含まれ、また医療従事者が被害者である場合も含まれる。 これらには過失が存在するものと、不可抗力によるものの両方が含まれる。 - 医療過誤
医療過誤とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠り、これによって患者に傷害を及ぼした場合をいう。医療が人間の手において行われる以上、ある確率で過失が発生するのは避けられないが、結果として生じた医療過誤に対して、医療従事者は業務上の注意義務を怠ったことについて責任を問われることになる。 - インシデント・アクシデント
患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした経験を有する事例をインシデントという。(事故分類レベル0~3a)具体的には、ある医療行為が、(1)患者には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば何らかの被害が予測される場合、(2)患者には実施されたが、結果として患者に被害を及ぼすに至らなかった場合を指す。アクシデントとは、直接患者に何らかの影響があったミスのことをさす。(事故分類レベル3b~5)
事故分類
分類 | 患者への影響度 | 内容 |
---|---|---|
インシデント | レベル0 | エラーや医薬品・医療器具の不具合が見られたが、 患者には実施されなかった |
レベル1 | 間違ったことが実施されたが、患者への実害はなかった (何らかの影響を与えた可能性は否定できない) |
|
レベル2 | 患者の一時的な観察強化、安全確認のための検査が 生じたが、治療は行わなかった。 |
|
レベル3a | 事故のため簡単な処置や治療を要する場合 (消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など) |
|
アクシデント | ||
レベル3b | 事故のため濃厚な処置や継続した治療を要する場合 (バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、 手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など) | |
レベル4a | 事故により長期にわたり治療が続く場合 (機能障害の可能性はない) |
|
レベル4b | 事故による障害が永久的に残った場合 | |
レベル5 | 事故が死因となったもの | |
その他 | 自殺企図、暴力、苦情、感謝 |
- 苦情
苦情とは、何らかのトラブルに不満を感じた顧客がその不満を表す行為であり、クレーム(商品・サービスに関して直接的に損害を受けた場合の請求行為)を含めた言葉と定義する。 - 医療安全管理者
医療安全管理者は、院長の指名により選任され、その指示を受け、病院内において各医療安全推進担当者(セーフティマネジャー)を指導し、連携・協同の上、特定の部門ではなく病院全般にかかる医療安全対策の立案・実行・評価を含め、医療安全管理のための組織横断的な活動を行う者をいう。 - 医療安全推進担当者(セーフティマネジャー)
医療安全推進担当者(セーフティマネジャー)は、各部署の管理者が適任とされる人材を指名し選任される。インシデント・アクシデントの内容を確認し、その原因、防止方法に関する検討提言や委員会等との連絡調整を行う者をいう。
第4条 医療安全管理体制の整備
当院においては、以下の事項を基本として、病院施設内における医療安全管理体制の確立に努める。
4-1 医療安全管理規程について
- 当院は、施設内関係者の協議に基づき医療安全管理室で「医療安全管理規程」を策定及び改定し、院長の承認を得る。
- 医療安全管理規程には、以下の事項を規定する。
ア 医療機関における医療安全管理に関する基本的考え方 (第2条参照)
イ 医療安全管理のための施設内体制の整備 (第4条参照)
ウ 医療安全管理委員会の設置及び業務 (第4条-10参照)
エ インシデント・アクシデント事例の報告体制 (第5条-2参照)
オ 医療事故報告体制 (第6条参照)
カ 医療事故発生時の対応 (第6条参照)
キ 医療安全管理のための職員研修に関する基本方針 (第5条-3参照)
ク 医療従事者と患者との間の情報共有に関する基本方針
ケ 患者等に対する医療安全管理規程の閲覧に関する基本方針 (第4条‐12参照)
コ その他、医療安全管理に関する事項
4-2 医療安全管理委員会の設置・業務(※医療安全管理委員会規定参照)
- 当院は医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
- 委員会は、院長、副院長、看護部長、事務長、医療安全管理者、各部署の担当者(医療安全推進担当者)をもって構成する。
- 委員会の委員長は、院長とする。
- 委員会の副委員長は、副院長、事務長、看護部長、医療安全管理者とする。
- 委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代行する。
- 委員会での業務内容は、以下のとおりとする。
ア 医療安全管理の事故防止策の検討及び研究に関すること
イ インシデント・アクシデント・苦情報告の分析及び再発防止策の検討並びに、委員会によって立案された防止対策及び改善策実施状況の調査及び見直しにと
関すること
ウ 医療安全管理のための諸記録の点検に関すること
エ 医療安全管理のために行う院長等に対する提言に関すること
オ 医療安全管理のための啓発、教育、広報などに関すること
カ その他医療安全管理に関すること - 委員会は、所掌事務に係る調査、審議等の任務を行う。
- 委員会の検討結果については、医療安全推進担当者を通じて、各職場に周知する。
- 委員会の開催は、毎月1回とする。ただし、必要に応じ、臨時の委員会を開催できるものとする。
- 委員会の記録は開催の都度、議事録として作成する。書記は持ち回りとし、作成後、医療安全管理者が確認し、修正、補足を行い、副委員長、院長、理事長に議事録にて内容報告を行う。
- 重大な問題が発生した場合には、委員会において速やかに発生の原因を分析し、改善策 の立案及び実施並びに職員への周知を図る。
4-3 医療安全管理室の設置、構成、業務
- 当院では、医療安全・感染対策部門の中に医療安全管理室を設置する。
- 医療安全管理室は、各部門 (診療部、看護部、医療技術部、事務部、医療安全・感染管理部門、診療支援部門)の責任者で構成される。室長を副院長とし、構成員の選任は院長が行う。(管理構成員名簿参照)
- 医療安全管理室の業務は以下のとおりとする。
本指針、医療安全管理室の業務規程に基づき、院内の医療の質を確保するうえで基本である安全な医療を実現するため、治療・看護・環境・設備等における包括的な課題に対し効果的かつ効率的な予防策を図り組織横断的に患者の安全の推進と感染防止を行う。
ア 各部門における医療安全対策の実施状況の評価に基づき、業務改善計画書を作成し医療安全対策の実施状況及び評価を行う。
イ 医療安全管理委員会との連携状況、院内研修の実績、患者等の相談件数・内容、 相談後の取り扱いを記録する。
ウ 医療安全対策に係る取り組みの評価等を行うカンファレンスを週1回程度(原則毎週金曜日)開催し、医療安全管理委員会・院内感染対策委員会の構成員、
必要に応じて各部門の医療安全管理者の担当者が参加し協議する。
4-4 医療安全管理者の配置とその業務
- 当院は、医療安全管理の推進のため、医療安全管理室に医療安全管理者を置く。
- 医療安全管理者は、院長の指示を受け、病院内において各部署の医療安全推進担当者を指導し、連携・協同の上、特定の部門だけでなく病院全般にかかる医療安全対策の立案・実行・評価を含めた医療安全管理のための組織横断的な活動を行なう者をいう。
- 医療安全管理者は、院長から委譲された権限に基づいて、医療安全管理に関する病院内体制の構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。また、医療安全に関する職員への教育・研修・情報の収集と分析、及び対策の立案・事故発生時の初動対応・再発防止策立案・発生予防及び発生した事故の影響拡大の防止などに努める。
- 医療安全管理者は医療安全管理室の業務のうち以下の業務について主要な役割を担う。
ア 安全管理部門の業務に関する企画立案及び評価を行う
・医療安全委員会、教育委員会と協力し、全職員向けの研修を年2回以上開催する。
・インシデント・アクシデント報告書の分析結果や医療安全情報から医療安全マニュアルの策定や改定を適宜行う。改定案は医療安全管理委員会で承認
を得る。
・安全管理対策及び事故防止対策について、医療安全ニュースを発行し、周知する。
・医療安全管理指針は、医療安全管理委員会で年1回(必要により適宜)見直しを行う。
イ 院内巡視・医療安全対策の実施状況を把握・分析し、医療安全確保のために必要な業務改善等の具体的な対策を推進する。
・医療安全管理委員会セーフティマネージャーとともに月1回程度院内巡視を行い、危険個所の確認を行う。
・各部署における医療安全対策・改善計画の実施状況を確認する。
・インシデント・アクシデントについて把握し、必要に応じて各部署での原因分析及び再発予防策立案についての助言・指導を行う。(重大事故発生時は
分析を行う)
ウ 各部門における医療事故防止担当者への支援
①医療安全に関する院外からの情報収集を入手したら、関係部署に情報提供を
行う。
・医療安全情報収集先:財団法人
日本医療機能評価機構:医療安全情報独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)行政からの通知
・入手した情報を当院の状況と照らし合わせ、改善が必要とされた場合は関係部署の医療安全管理者等を召集し検討、改善を行う。
②重大な医療事故発生後の対応と調整等の支援を行う。
・発生状況(事実・背景・要因)の調査と報告に関すること
・患者や家族への説明や、発生時の対応状況等の確認及び必要な指導
・当該事故関係医療従事者、セーフティーマネージャー等の支援、必要に応じて、患者・家族への対応支援を実施
・事故等に関する診療録や看護記録等の確認及び必要な指導
③院内死亡全例についてすみやかに診療録等を確認し、医療事故調査制度の報告対象の該当有無を確認する。予期せぬ死亡の可能性がある場合は関係者に
確認を行う。
エ 医療安全対策の体制確保のための各部門との調整
①医療安全管理委員会の運営
・インシデントレポートの月報報告、気になる報告内容の分析結果を紹介、未解決問題に対し提案等を行う
・委員会の議題作成と進行の補助を行う
・議事録の作成
・医療安全管理委員会による安全ラウンドの実地
②医療安全に関わる各委員会との連携
医療安全管理者は、以下の委員会に適宜参加し、医療安全の視点から問題提起・意見交換を行う
・院内感染対策委員会
・サービス委員会
・医療安全推進委員会
・褥瘡委員会
・輸血取扱管理委員会
・NST委員会
・医療放射線安全管理委員会
・病棟関連会議
・その他:医療安全を目的とした看護部会などの企画・開催
③患者安全の視点に立ち、各部署間の話し合いを促進し、利害対立等の調整を図る。また、決定した対策やマニュアルについて、施設内や当該部署内に発信
し、周知徹底を図る。
オ 職員の安全管理に関する意識の向上及び指導に関すること
院内の全職員に対し、医療安全に関する教育研修の企画と運営を行う。現場からの要望にあわせた研修を企画・実施し、また、部門ごとに実施する研修の
助言と指導を行う。
*病院職員(全職員)
*学生(各種実習)
*法人全体研修(新入職者研修、中途就職者研修、医師・管理職研修配布など)
カ 医療安全に関する相談窓口
相談窓口等、患者サポートの各部署担当者と密接な連携を図り、医療安全対策に係る患者・家族の相談に適切に応ずる体制を支援する。
医療不信・苦情については、患者相談室と密接な連携を図り対応する。
患者・家族からの苦情状況の分析・対策検討については患者サポート担当者と共に行い改善に努める。
医療安全に役立てるべき事例や状況について把握し、必要に応じサービス改善委員会・医療安全管理委員会等へ情報提供する。
キ 医療事故等に係る診療録及び看護記録等の記載状況の確認及び指導診療録や看護記録等の記載、医療事故報告書の作成について、職場責任者に対す
る必要な指示、指導を行う。
ク 患者及び家族への説明等、医療事故発生時の対応状況の確認及び指導
①事故発生時の患者及び家族への対応は、必要に応じ医師をはじめ該当管理責任者と共に対応する。また、職員に対し適正な対応指導を行う。
②事故発生時の患者や家族、警察などの行政機関並びに報道機関への説明や対応は、院長・副院長・当該事故関係者・患者相談室と共に状況を確認し、
院長を補佐し組織的に対応する。
ケ 医療事故等に係る原因究明の確認及び指導
事故発生時(レベル3b以上)は、重大事故発生時フロー図にのっとり初期対応を速やかに実施、必要に応じ医療事故処理・調査委員会を開催し、事故事実
の原因究明と再発事故防止対策の策定を行う。
コ 医療事故調査制度の対応に関すること当院に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる
死亡であって、院長が当該死亡を「予期しなかったもの」が発生したと判断した時は、速やかに院長の命によって、院内事故調査委員会を立ち上げ、調査・
報告・分析のための調整・支援を行う。
4-5 薬剤管理責任者の配置・業務(医療技術部及び薬剤管理課)
- 当院は、医薬品の使用に際して、医薬品の安全使用ための体制を確保し、医薬品に係る安全管理のための体制を確保するために、薬剤管理責任者を置く。
薬剤管理責任者は、院長から委譲された権限に基づいて、医薬品管理に関する病院内の体制構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。 - 医薬品安全管理責任者は、次の業務を行う。
ア 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成。
イ 従事者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施。
ウ 医薬品の業務手順書に基づく業務の実施。
エ 医薬品の安全使用のために必要となる情報収集を行う。また、患者の安全確保を
目的とした改善のための検討を週1回程度行い実施する。
オ 医薬品の安全使用のための業務手順書を必要に応じ、改定し遵守を促す。
4-6 事務部管理責任者の配置・業務(事務部及び診療情報管理室)
- 当院は、安全な医療の提供、診療、療養環境を確保するために、事務部門に責任者を置く。事務管理責任者は、院長から委譲された権限に基づいて、事務管理に関する病院内体制の構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。
- 事務部管理責任者は、次の業務を行う。
ア 医療安全に必要な、指針、規程、基準などの整備を行う。
イ 情報収集と分析能力、問題解決能力、戦略策定・実行のスキルをもって、組織の中を横断的に調整し、院内の安全な環境作りを行う。
ウ 病院外の活動で自院の存在価値を高める有為な情報を獲得し、自院を外部環境と繋いでいく。
エ 医療事故発生時の対応状況の確認及び指導。
オ「予期せぬ死亡」に対し、院内事故調査委員会始動の際は、調査・報告・分析のための調整・支援を行う。
4-7 診療支援部門管理責任者の配置、業務
- 当院は、診療支援チーム活動を安全に行うための体制を確保するために、診療支援部門に責任者を置く。 診療支援部門責任者は、院長から委譲された権限に基づいて、診療支援部門管理に関する病院内の体制構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。
- 診療支援部門管理責任者は、次の業務を行う。
ア チーム運営のための規定、運用マニュアルの策定
イ 職員に対し、知識、技術の向上のための研修会の実施
ウ チームの活動業務の見直し、定例会の実施
4-8 院内感染管理責任者の配置・業務(医療安全・感染管理部)
- 当院は、医療関連感染に係る感染管理のための体制を確保するために、院内感染管理責任者を置く。院内感染管理者は、院長から委譲された権限に基づいて、院内感染管理に関する病院内の体制構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。
- 院内感染管理責任者は、次の業務を行う。
ア 院内感染対策を行う管理業務に関する企画立案及び評価の実施
イ 病院内における職員の院内感染対策に関する意識の向上や指導等の業務を行う。
4-9 医療器機安全管理責任者の配置・業務
- 当院は、医療機器に係る安全管理のための体制を確保するために、医療機器安全管理責任者を置く。医療機器安全管理責任者は、院長から委譲された権限に基づいて、医療機器完全管理に関する病院内の体制構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。
- 医療機器安全管理責任者は、次の業務を行う
ア 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
イ 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
ウ 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器の安全使用
を目的とした改善のための方策の実施
4-10 医療放射線安全管理責任者の配置・業務
- 当院は、診療用放射線の利用に係る安全管理のための体制を確保するために、医療放射線安全管理責任者を置く。医療放射線安全責任者は、院長から委譲された権限に基づいて、放射線安全管理に関する病院内の体制の構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。
- 医療放射線安全管理責任者は次の業務を行う。
ア 医療放射線安全管理のための研修会の実施
イ 放射線診療機器等の線量評価及び最適化の検討・報告(線量管理)
ウ 放射線診療を受けた患者様の被ばく線量等の記録(線量記録)
エ 放射線の過剰被ばくとその他の放射線診療に関する有害事例等の事例発生時の対応
オ 医療従事者と放射線診療を受けた患者様との情報共有
4-11 医療安全推進担当者(セーフティマネジャー)の配置 ・業務 (一部削除)
- 当院は、医療安全管理の推進に資するため、各部署に医療安全推進担当者を置く。
- 医療安全推進担当者は、以下の業務を行う。
ア 各部署における医療事故の原因及び防止方法並びに医療安全管理体制の改善方法についての検討及び提言
イ 各部署における医療安全管理に関する意識の向上(各部門における事故防止確認のための業務開始時のミーティングの実施などの励行等)
ウ インシデント・アクシデント報告書の内容確認・分析及び報告書の作成援助
エ 委員会で決定した事故防止及び安全対策に関する事項について、各部署で周知徹 底を図る。
オ 職員に対し、インシデント報告の積極的な提出の励行
4-12 医療従事者と患者間の情報共有について(※医療安全管理マニュアル参照)
患者には自らが受ける医療行為について、その目的・方法・危険性・予後・選択しうる他の治療手段、検査結果等について説明を受け、自らの意思にもとづき医療行為に同意し、選択し、あるいは拒否する権利がある。「説明と同意・理解と選択」の流れをインフォームド・コンセントと定義し、インフォームド・コンセント指針を「医療安全管理マニュアルの中に整備する。
インフォームド・コンセント指針では、以下を示す。
- 基本的な取り組み姿勢
- 同意を必要とする範囲
- 説明者
- 説明の方法
- 留意事項
- 看護師等同席基準
4-13 医療安全管理規程の閲覧について
- 医療安全管理規程については、各部署に配布し、職員全員に対し内容の共有を図る。また、患者及び家族等から閲覧の求めがあった際には、これに応じるものとする。
- 院内待合室に医療安全管理指針を整備する
- Webサイト上からいつでも閲覧できるよう、医療安全管理指針を整備する
4-14 患者相談窓口の設置・業務
- 患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保し、患者等との情報共有を確実なものとするために、施設内に患者相談窓口を常設する。
- 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示する。
- 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱、相談情報の秘密保持、管理者への報告等に関する規程を整備する。 (「患者サポート体制運用規程、
「患者サポート体制」に関する取り組み参照) - 相談により、患者や家族等が不利益を受けないよう適切な配慮を行う。
- 苦情や相談、医療安全に関わるものについては、週1回のカンファレンスで情報共有し、対応策の検討や、安全対策の見直し等に活用する。
第5条 医療安全管理のための具体的方策の推進
当院における医療安全管理のための具体的方策は以下のとおりとする。
5-1 医療事故防止のための要点と対策
安全な医療を行うために、医療行為についての具体的な注意事項を定める医療事故防止対策について、各部門の医療安全推進担当者を中心に医療安全管理室で作成し、委員会で承認を得る。 また、医療事故を減少させるために、病院職員全員が診療に関わる個々の場面で危険因子に対して自覚的になり、医療事故の発生を回避することが肝要である。
そのためには個人の経験のみならず、ヒヤリ・ハットと呼ばれるインシデント事例の報告を自発的かつ積極的に行い、危険因子に関連する情報共有を病院全体で促進していく。さらに医療安全に関する知識・技術のみならず、心肺蘇生法やコミュニケーションスキルも含めた院内研修を積極的に進めていく。これらの活動は組織としての質改善活動及び、病院組織の健全な体制維持にも寄与する。不幸にして発生した重大事例については、診療科の壁を越えて病院の総力をあげて治療に臨むこととする。また医療事故発生後の対応についても被害者への対応、当事者への対応を含めて病院としての努力を積み重ねていくこととする。事故後の対応については、担当医をはじめとする診療担当者の真摯な対応が最も重要であるが、紛争解決の社会的な側面も重要であり、裁判外紛争処理(ADR)の活用などを積極的に考慮していく。
5-2 インシデント(ヒヤリ・ハット)・アクシデント発生時の①対応 ②報告 ③評価・分析
①対応
患者に望ましくない事象が生じた場合には、第1に患者対応を優先する。可能な限り患者の安全と被害拡大防止に全力を尽くす。
②報告
ア インシデント・アクシデント事例については、当該事例を体験した職員が、その概要をインシデント・アクシデント報告書に記載し、翌日までに医療
安全推進担当者または部署責任者に提出する。
※レベル3b以上の事象については別紙(インシデント・アクシデント報告期限、各報告経路:フローシート)に沿って報告・提出する
イ 医療安全推進担当者は、レポート内容に不備がないことを確認し所属長に提出する。所属長は、レポート報告等から当該部門及び関係する部門に潜むシス
テム自体のエラー発生要因を把握し、リスクの重大性、リスクの予測の可否及びシステム改善の必要性等必要事項を記載して医療安全管理者に提出する。
ウ レポートを提出した者に対し、当該報告を行ったことを理由に不利益処分を行ってはならない
エ レポートは、医療安全管理室において保管する。
③評価・分析
インシデント・アクシデント事例について、各部署、部門において効果的な分析を行い医療安全管理に資することができるよう、必要に応じてカンファレンスを実施
し、当該事例の共有、原因分析、対策立案、評価を行う。各部署、部門で立案された対策については、業務改善としてまとめ、院内で情報共有を図る。
5-3 医療安全管理のための職員研修
当院は、個々の職員の安全に対する意識、安全に業務を遂行するための技能やチームの一員としての意識の向上等を図るため、医療に係る安全管理の基本的考え方及び具体的方策について、職員に対し以下のとおり研修を行う。
- 医療機関全体に共通する安全管理に関する内容とする。
- 医療に関わる場所において業務に従事する者を対象とする。
- 年2回程度定期的に開催、それ以外にも必要に応じて開催する。
- 実施内容について記録を行う。
5-4 医療安全に関わる職員の義務と免責
事故は、さまざまな要因が複雑に影響し合って発生し、重大事故は、「信頼の失墜」を招くばかりではなく、「患者の安全損失」を招く恐れがあります。事故の根
底には、ヒューマンエラー(人間の誤認識や誤動作によって引き起こされるミス)が存在し、このヒューマンエラーによる事故はさまざまな分野で起こり得ます。
そして「ゼロ」にする事ができません。したがって、組織には、ヒューマンエラーに対する適切な対応が求められています。ヒューマンエラーへの対応を検討する
には、ヒューマンエラーに関する情報を収集し詳しく分析する必要があります。
- 全職員は、インシデント・アクシデント発生に関して、報告体制に従い速やかに報告する義務を有する。
- 報告は個人の責任追及や処罰を目的にしたものではなく、再発予防の要因分析安全レベルの向上に使用するされるものである。
- 本来持っている専門知識、技術に関する明らかな問題点が確認されれば、それらに対する何らかの手立てが必要になる場合もある。
第6条 医療事故発生時の具体的な対応
当院における医療事故発生時の対応、報告体制、患者・家族への対応及び医療事故調査・支援センター並びに警察署等への届出の具体的な対応は、以下のとおりとする。
(別紙:医療事故発生時の対応マニュアル参照)
6-1 医療事故発生時の対応
救命措置の最優先
医療側の過失によるか否かを問わず、患者に望ましくない事象が生じた場合には、可能な限り当院の総力を結集して、患者の救命と被害拡大防止に全力を尽くす。
6-2 医療事故の報告
- 当院における報告の手順と対応
ア 医療事故が発生した場合は、事故の状況、患者の現在の状態等を、上司を通じ、部門長へ迅速かつ正確に報告する。
イ 各部門の責任者は、医療安全管理室室長(副院長)に報告すると同時に安全管理者に報告する。医療安全管理室室長(副院長)は院長に報告する。
ウ 病院長は必要に応じて医療安全管理委員会を緊急招集・開催させ、対応を検討させる。
エ 報告を行った職員はその事実および報告の内容を、できる限り経時的に記載す
る。 - 施設内における報告の方法
報告は、文書(「インシデント・アクシデント報告書」)により行う。ただし、緊急を要する場合は、直ちに口頭で報告し、その後文書による報告を速やかに行う。
なお、インシデント・アクシデント報告書の記載は、(1)事故発生の直接の原因となった当事者が明確な場合には、当該本人、(2)その他の者が事故を発見した場合に
は、発見者とその職場の長が行う。 - 事故発生後の対応
①医療に起因し、または起因すると疑われる死亡であって病院長が当該死亡を予期しなかった事例と判断した場合は、病院長が直ちに家族への説明を行い、医療事故
調査支援センターへの報告を行う。
②病院長が医療事故調査等支援団体へ支援を要請するかどうかを判断し、必要と判断した場合は上記支援団体へ連絡し支援を得て院内事故調査を行う。支援が必要で
ないと判断した場合は、院内規程に従い、調査委員会を設置し、医療事故調査報告書を作成する。
a)支援団体を要請した場合については、その指示に従い調査を行う。
b)支援を要請しない場合には、調査委員会の構成は、医療事故処理・調査委員会規程第4条に定める者とする。
c) 病院長は、医療事故の原因調査の結果については速やかに院内に周知する。
③医療事故処理・調査委員会からの報告後の対応については以下とする。
a)病院長は、医療事故処理・調査委員会からの報告を踏まえ、診療管理体制等の 改善等を検討し、再発防止の徹底を図る。
b)病院長は、主治医・所属長および当該職員への指導を行なう。 - 患者・家族への対応
患者に対しては誠心誠意治療に専念するとともに、患者及び家族に対しては、誠意をもって事故の説明を行う。患者及び家族に対する説明は、原則として、病院の幹部職員が対応することとし、その際、病状などの詳細な説明ができる担当医師が同席する。
なお、状況に応じ、医療安全管理者、部門の管理責任者等も同席して対応する。 - 警察署への届出 (医療法第21条の実施)
①医療過誤によって死亡又は障害が発生したことが明白な場合には、速やかに所轄警察署に届出を行う。
②医療過誤によって死亡又は重大な障害が発生したことが明白な場合、届出について本部と協議・検討を行い対応する。
③届出を行うに当たっては、事前に患者、家族に説明を行う。 - 医療事故報告書の保管
医療事故に関する報告書については、医療安全管理室において、同報告書の記載
日が属する年度の翌年度から起算して5年間保管する。
第7条 医療事故の評価と医療安全対策への反映
- 医療事故が発生した場合、委員会において、事故の原因分析など、以下の事項に
ついて評価検討を加え、その後の医療安全対策への反映を図るものとする。
ア 医療事故報告に基づく事例の原因分析
イ 発生した事故について、組織としての責任体制の検証
ウ これまでに講じてきた医療安全対策の効果
エ 同様の医療事故事例を含めた検討
オ 厚生労働省の「医薬品・医療用具等安全性情報」への報告及び医療機器メーカ―への機器改善要求
カ その他、医療安全対策の推進に関する事項 - 医療事故の効果的な分析を行い、事故の再発防止に資することができるよう、必要に応じて、根本的原因分析などを行い、より詳細な評価分析を行う。重大事故の場合、委員に外部委員を含む事故調査委員会の設置を考慮する。
- 医療事故の原因分析等については、委員会で十分に検討した結果を事故報告書に記載する。
第8条 その他医療安全の推進のために必要な基本方針
常に安全管理体制の点検・見直しを行い、組織横断的に連携をとり、情報の共有化を図りながら医療の安全性の向上に努める。
2024年4月改定 医療安全管理室