医療安全管理とは

医療の質の向上と安全の確保は、私たち医療者が取り組む最優先課題です。患者さんの安全を守り、高度な医療を真心を込めて提供させていただきます。更なる安全を推進する医療安全管理室と医療安全管理委員会メンバーがそれぞれの役割を遵守し、地域の皆様から信頼かつ求められる人材になれるよう今日も元気に医療安全活動をしています。

医療安全管理室の活動

「委員会」

医療安全管理委員会(月1回)
院長をはじめとする医療安全管理委員会メンバーで、事例検討、各部署の問題の報告・対策検討等を行い、今後の課題などの意見交換を行っています。

「KYT(院内巡視チーム)」

  • 危険(K)、予知(Y)、トレーニング(T)とは、危険を危険と気付く感受性を磨き、危険に対する情報共有を行い、それを解決していく過程で問題解決能力を高め、作業行動の要所要所で指差し呼称を行うことにより集中力を高め、チームワークで実践への意欲を強める手法です。KYTのめざすところは、マナーの良い職場(現場)風土(体質)を、問題(危険)の先取りと問題解決に強いものにするところにあります。患者さん、職員に安心・安全を提供できるよう、医療安全活動に全力で取り組んでいます。
  • チームリーダーを中心として、毎週院内を巡視します。前回問題となった箇所の改善が出来ているか、新たな問題となっている箇所が発生していないかなど、各部署のリスクマネージャーによる眼と違った視点で問題点を抽出します。また、毎月一度行われる委員会の中で活動報告を行っています。
  • 公正で良質な医療の提供を目指し、職員に改善のための助言や指導を行い、その結果から達成度の報告をします。
  • 改善場所を写真に収め、ファイリングして改善事項を指導し、改善結果やその後の経過も確認しています。
  • 院内巡視活動中に職員が患者さん・ご家族さまのご意見を伺うことがあります。何か不備がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

「転倒転落チーム」

転倒転落を防止し、患者さんの安全を確保します。

  • 周知アンケートを実施し、転倒転落別予防策の周知させます。
  • 看護部とリハビリテーション課で転倒転落別予防策の実施状況を確認します。
  • 事例検討を行ない、委員会内で改善策の共有を図ります。(事例検討:3回/年以上実施)

「薬剤関連チーム」

薬剤を適切に使用し患者の安全を確保します。

  • 6Rの認知度調査を継続的におこない、認知度の変化およびインシデント発生件数への影響調査をおこないます。

「チューブトラブルチーム」

適切なチューブ管理により、患者に有効な治療を提供する。

  • 多発する事例に対し事例検討を行ないます。(3ヶ月に1回)
  • 「適切なチューブ管理」の実施確認方法を検討します。

「医療安全による研修」

  • 全職員を対象に年2回の医療安全研修を行っています。
  • 新入職員は入職者オリエンテーションにおいて「医療安全にに関する基本的な考え方」「組織体制」などをテーマにそれぞれ1~2時間程度の勉強を行っています。

医療安全管理指針

第1条 総 則

基本理念

 医療の現場では、その従事する者の僅かな不注意、或いは些細な判断ミスによって、医療上予想されない状況や、望ましくない事態を引き起こし、患者様の健康や、場合によっては生命を脅かす結果を招くことがある。 我々医療従事者には、第一に患者様の安全を確保し、患者様が安心して医療を受けることが出来る環境を維持する義務と、そのための不断の努力が求められている。また、それが単独であれ重複であれ、小さな過ちが医療事故というかたちとなることで患者様に実害を及ぼすことのないように、日常診療の過程において、二重、三重のチェックポイントを設け、医療安全に向けた行動における病院の全体的な仕組みを構築することが重要である。

 本指針は、この「患者様の安全こそが他の何よりも優先される」という考え方の下に、それぞれの医療従事者の個人レベルでの事故防止対策と、施設全体に渡る組織横断的な事故防止対策の二つの対策を確実に推進することによって、医療事故の発生を未然に防止し、患者様が安心して安全且つ高度な医療を受けられることを目標とする。当院においては、病院長のリーダーシップの下、あらゆる職種においてそれぞれの立場からこの問題に真摯に取り組み、患者様の安全を確保しつつ必要な医療を迅速に提供していくという使命に、職員一人一人の不断の努力を要請するものである。

第2条  医療安全管理のための基本的な考え方

 医療安全は、医療の質に関わる重要な課題である。また、安全な医療の提供は医療の基本となるものであり、当院及び職員個人が、医療安全の必要性・重要性を施設及び自分自身の課題と認識し、医療安全管理体制の確立を図り、安全な医療の遂行を徹底することがもっとも重要である。 このため、当院は、本指針に基づき、医療安全管理委員会及び医療安全管理室を設置し、医療安全管理体制を確立するとともに、当院関係者の協議のもとに、医療安全管理規程及び医療安全管理のためのマニュアルを作成する。また、インシデント事例及び医療事故の評価分析によりマニュアル等の定期的な見直し等を行い、医療安全管理の強化充実を図る。

第3条  用語の定義

  1. 医療安全管理規程
    当院における医療安全管理体制、医療安全管理のための職員研修、医療事故対応等の医療安全管理のための基本方針を文書化したもので、医療安全管理委員会で策定及び改定する。
  2. マニュアル
    当院において、医療安全管理のための具体的方策、医療事故発生時の具体的対応及び医療事故の評価と医療安全管理への反映等をまとめたものとする。マニュアルは、当院内の関係者の協議のもとに医療安全管理室で作成、点検及び見直しの提言等を行い、医療安全管理委員会で承認を受けるものとする。
  3. 医療事故 
    医療事故とは、医療に関わる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含し、医療行為と直接関係ない場合も含まれ、また医療従事者が被害者である場合も含まれる。これらには過失が存在するものと、不可抗力によるものの両方が含まれる。                                                                             
  4. 医療過誤
    医療過誤とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠り、これによって患者に傷害を及ぼした場合をいう。医療が人間の手において行われる以上、ある確率で過失が発生するのは避けられないが、結果として生じた医療過誤に対して、医療従事者は業務上の注意義務を怠ったことについて責任を問われることになる。
  5. インシデント (事故分類 レベル0~3a)
    思いがけない出来事、偶発事象であり、これに対し適切な処理を行われないと事故になる可能性がある事象。つまり、日常診療の場で、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見されたもの、あるいは誤った医療行為が実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすまでには至らなかった事象。患者に実施される前に発見されたものを「ヒヤリハット」とも呼ぶ。
  6. アクシデント (事故分類 レベル3b~5)
    医療において、その目的に反して障害を生じた事象。医療従事者の過失の有無にはかかわらない。医療界におけるリスクマネジメントで取り扱う事故は、患者だけでなく医療従事者が被害者でもある場合も含まれる。
  7. リスクマネジメント
    ヒューマンファクター(個人的要因)防止のための院内教育及び医療安全管理委員会設置、インシデント・アクシデントレポートなど医療安全管理システムの構築を通し、医療事故を未然に防ぎ医療の質を保証すること。
  8. 医療安全管理者
    医療安全管理者は、院長の指名により選任され、病院内において医療安全推進担当者(セーフティーマネージャ)を指導し、連携・協同の上、特定の部門ではなく病院全般にかかる医療安全対策の立案・実行・評価を含め、医療安全管理のための組織横断的な活動を行う者をいう。
  9. 医療安全推進担当者(セーフティーマネージャ)
    医療安全推進担当者(セーフティーマネージャ)は、各部署の管理者が適任とされる人材を指名し選任される。インシデント・アクシデントの内容を確認し、その原因、防止方法に関する検討提言や委員会等との連絡調整を行う者をいう。

第4条  医療安全管理体制の整備

当院においては、以下の事項を基本として、病院施設内における医療安全管理体制の確立に努める。

4-1 医療安全管理規程について

  1. 当院は、施設内関係者の協議に基づき医療安全管理委員会で「医療安全管理規程」を策定及び改定し、院長の承認を得る。
  2. 医療安全管理規定には、以下の事項を規定する。
     ア 医療機関における医療安全管理に関する基本的考え方
     イ 医療安全管理のための施設内体制の整備
     ウ 医療安全管理管理委員会の設置及び業務
     エ インシデント・アクシデント事例の報告体制
     オ 医療事故報告体制
     カ 医療事故発生時の対応
     キ 医療安全管理のための職員研修に関する基本方針
     ク 患者等に対する医療安全管理規定の閲覧に関する基本方針
     ケ その他、医療安全管理に関する事項

4-2 医療安全管理委員会の設置・業務(※医療安全管理委員会規定参照)

  1. 当院は医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
  2. 委員会は、院長、副院長、看護部長、事務長、医療安全管理者、各部署の担当者(医療安全推進担当者)をもって構成する。
  3. 委員会の委員長は、院長とする。
  4. 委員会の副委員長は、副院長、事務長、看護部長、医療安全管理者とする。
  5.  委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代行する。
  6. 委員会での業務内容は、以下のとおりとする。
    ア  医療安全管理の事故防止策の検討及び研究に関すること
    イ  インシデント・アクシデント・苦情報告の分析及び再発防止策の検討並びに、委員会によって立案された防止対策及び改善策の実施状況の調査及び見直しに関すること
    ウ  医療安全管理のための諸記録の点検に関すること
    エ  医療安全管理のために行う院長等に対する提言に関すること
    オ  医療安全管理のための啓発、教育、広報などに関すること
    カ  その他医療安全管理に関すること
  7. 委員会は、所掌事務に係る調査、審議等の任務を行う。
  8. 委員会の検討結果については、医療安全推進担当者を通じて、各職場に周知する。
  9. 委員会の開催は、毎月1回とする。ただし、必要に応じ、臨時の委員会を開催できるものとする。
  10. 委員会の記録は開催の都度、議事録として作成する。書記は持ち回りとし、作成後、医療安全管理者が確認し、修正、補足を行い、副委員長、院長、理事長に議事録にて内容報告を行う。
  11. 重大な問題が発生した場合には、委員会において速やかに発生の原因を分析し、改善策の立案及び実施並びに職員への周知を図る。

4-3 医療安全管理室の設置・構成・業務

  1. 当院では、医療安全・感染対策部門の中に医療安全管理室を設置する。
  2. 医療安全管理室は、医療安全管理責任者を室長とし、医療安全管理者、その他必要な職員をもって構成され、医療安全管理室室長は原則として、副院長とする。構成員の選任は院長が行う。(管理構成員名簿参照)
  3. 医療安全管理室の業務は以下のとおりとする。
    本指針、医療安全管理室の業務規程に基づき、院内の医療の質を確保するうえで基本である安全な医療を実現するため、治療・看護・環境・設備等における包括的な課題に対し効果的かつ効率的な予防策を図り組織横断的に患者の安全の推進と感染防止を行う。
    ア  委員会で用いられる資料及び議事録の確認及び保存などを行う。
    イ  医療安全に関する日常活動に関すること
     ①医療安全に関する現場の情報収取及び実態調査(定期的な現場の巡回・点検、マニュアルの遵守状況の点検)
     ②マニュアルの作成及び点検並びに見直しの提言等
     ③ヒヤリハット体験報告の収集、保管、分析、分析結果などの現場へのフィードバックと集計結果の管理、具体的な改善策の提案・推進とその評価
     ④ 医療安全に関する最新情報の把握と職員への周知(他施設における自己事例の把握など)
     ⑤医療安全に関する職員への啓発、広報(月間情事の実施など)
     ⑥医療安全に関する教育研修の規格・運営
     ⑦医療安全管理に係る連絡調整
    ウ  医療事故発生時の指示、指導等に関すること
     ①診療録や看護記録等の記載、医療事故報告書の作成について、職場責任者に対する必要な指示、指導
     ②患者や家族への説明など事故発生時の対応状況についての確認と必要な指導(患者及びその家族、警察等の行政機関並びに報道機関等への対応は、病院の院長、副院長のほか、それぞれの部門の管理責任者が主として行う。)
     ③院長の指示を受け、医療事故の原因分析等のための臨時医療安全管理委員会を招集
     ④事故等の原因究明が適切に実施されていることの確認と必要な指導
     ⑤医療事故報告書の保管
    エ その他、医療安全対策の推進に関すること
  4. 医療安全対策に係る取り組みの評価等を行うカンファレンスを週1回程度(原則毎週金曜日)開催する。必要に応じて、関連部署の医療安全推進担当者や職員が参加し協議する。

4-4 医療安全管理室室長(医療安全管理責任者)

  1. 当院は、医療安全管理の推進のため、医療安全管理室に医療安全管理室室長を置く。
  2.  室長は、医療安全にかかる業務の全てを統括し、また医療事故時の指示・命令に関する全ての権限を有し、医療安全対策に総括的な責任を担う者とする。
  3. 室長は、医療安全管理者を指示し、医療安全対策を総合的に企画・実施し組織横断的に院内の医療安全管理を担う。

4-5 医療安全管理者の設置とその業務

  1. 当院は、医療安全管理の推進のため、医療安全管理室に医療安全管理者を置く。
  2.  医療安全管理者は、院長・室長の指示を受け、病院内において各部署の医療安全推進担当者を指導し、連携・協同の上、特定の部門だけでなく病院全般にかかる医療安全対策の立案・実行・評価を含めた医療安全管理のための組織横断的な活動を行う者をいう 。
  3. 医療安全管理者は、院長から委譲された権限に基づいて、医療安全管理に関する病院内体制の構築に参画し、委員会をはじめとする各種活動の円滑な運営を支援する。また、医療安全に関する職員への教育・研修・情報の収集と分析、及び対策の立案・事故発生時の初動対応・再発防止策立案・発生予防及び発生した事故の影響拡大の防止などに努める。
  4. 医療安全管理者は医療安全管理室の業務のうち以下の業務について主要な役割を担う。
    ア 医療安全管理室の業務に関する企画立案及び評価に関すること。
    イ 施設における職員の安全管理に関する意識の向上及び指導に関すること。
    ウ 医療安全に関する職員への教育・研修の実施
    エ 医療事故を防止するための情報収集、分析、対策立案、フィードバック、評価
    オ 医療事故発生の報告又は連絡を受け、直ちに医療事故の状況把握に努めること。
    カ 安全文化の醸成

4-6 医療安全推進担当者(セーフティーマネージャ)の配置 ・業務

  1. 当院は、医療安全管理の推進に資するため、各部署に医療安全推進担当者を置く。
  2. 医療安全推進担当者は、以下の業務を行う。
    ア 各部署における医療事故の原因及び防止方法並びに医療安全管理体制の改善方法についての検討及び提言
    イ 各部署における医療安全管理に関する意識の向上(各部門における事故防止確認のための業務開始時のミーティングの実施などの励行等)
    ウ インシデント・アクシデント報告書の内容確認・分析及び報告書の作成援助
    エ 委員会で決定した事故防止及び安全対策に関する事項について、各部署で周知徹底を図る。
    オ 職員に対し、インシデント報告の積極的な提出の励行

4-7 職員の責務

  1. 職員は、業務の遂行に当たっては、常日頃から患者への医療、看護等の実施、医療機器の取扱いなどに当たって安全な医療をおこなうよう細心の注意を払わなければならない。

4-8 患者相談窓口の設置・業務

  1. 患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保し、患者等との情報共有を確実なものとするために、施設内に患者相談窓口を常設する。
  2. 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示する。
  3. 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱、相談情報の秘密保持、管理者への報告等に関する規程を整備する。 (「患者サポート体制運用規程、「患者サポート体制」に関する取り組み参照)
  4. 相談により、患者や家族等が不利益を受けないよう適切な配慮を行う。
  5. 苦情や相談、医療安全に関わるものについては、週1回のカンファレンスで情報共有し、対応策の検討や、安全対策の見直し等に活用する。

(医療安全管理指針の閲覧について)
・医療安全管理規定については各部署配布し、職員に対し情報共有を図る。
・その他、院内待合室やWebサイト上などに医療安全管理指針を整備する。

(医療安全管理マニュアルの整備について)
医療安全管理のための具体的方策、医療事故発生時の具体的対応及び医療事故の評価と医療安全管理への反映などを規定したマニュアルを作成し、職員の共通認識のもとに医療安全対策を推進する。

第5条  医療安全管理のための具体的方策の推進

当院における医療安全管理のための具体的方策は以下の通りとする。

 5-1  医療事故防止のための要点と対策

 安全な医療を行うために、医療行為についての具体的な注意事項を定める医療事故防止の要点と対策について、各部署の医療安全推進担当者を中心に医療安全管理委員会などで検討し、委員会で承認を得る。また、医療事故防止の要点と対策は、自施設又は他施設のヒヤリハット事例の評価分析や医療事故報告、原因分析等に基づいて、随時見直しを図ると共に関係職員に周知徹底を図り、委員会で承認を得て改定を行うものとする。

 5-2  インシデント報告及び評価分析

  1. 報告
    ア 院長は、医療安全管理に資するよう、インシデント報告を促進するための体制を整備する。
    イ インシデント事例については、当該事例を体験した医療従事者が、その概要をインシデント報告書に記載し、翌日までに医療安全推進担当者、又は所属長に報告する。
    ウ 医療安全推進担当者、及び所属長は、インシデント報告等から当該部門及び関係する部門に潜むシステム自体のエラー発生要因を把握し、リスクの重大性、リスクの予測の可否及びシステム改善の必要性等必要事項を記載して医療安全管理室に提出する。
    エ インシデント報告を提出した者に対し、当該報告を提出したことを理由に不利益処分を行ってはならない。
    オ インシデント報告は、医療安全管理室において保管する。
  2. 評価分析
    インシデント事例について、各部署において効果的な分析を行い医療安全管理に資することができるよう、必要に応じて、当該事例の原因、種類及び内容などを分析ツールを活用し、評価分析を行う。各部署で立案された対策については、業務改善としてまとめ、院内で情報共有を図る。
  3. インシデント事例集の作成
    インシデント事例を評価分析し、医療安全管理に資する事ができるよう、事例集を作成する。なお、事例集については、インシデント体験報告に基づき、定期的に事例の追加記載を行い、関係職員への周知を図る。

5-3 医療安全管理のための職員研修
 当院は、個々の職員の安全に対する意識、安全に業務を遂行するための技能やチームの一員としての意識の向上等を図るため、医療に係る安全管理の基本的考え方及び具体的方策について、職員に対し以下のとおり研修を行う。
 ア 医療機関全体に共通する安全管理に関する内容とする。
 イ 医療に関わる場所において業務に従事する者を対象とする。
 ウ 年2回程度定期的に開催、それ以外にも必要に応じて開催する。
 エ 実施内容について記録を行う。

  1. 医療機関全体に共通する安全管理に関する内容とする。
  2. 医療に関わる場所において業務に従事する者を対象とする。
  3. 年2回程度定期的に開催、それ以外にも必要に応じて開催する。
  4. 実施内容について記録を行う。

第6条  医療事故発生時の具体的な対応

当院における医療事故発生時における医療事故の対応、報告判断体制、患者・家族への対応及び警察への届出の具体的な対応は、以下のとおりとする。

  1. 医療事故発生時の対応
    救命措置の最優先する。医療側の過失によるか否かを問わず、患者に望ましくない事象が生じた場合には、可能な限り当院の総力を結集して、患者の救命と被害拡大防止に全力を尽くす。
  2. 医療事故の報告
    (1)当院における報告の手順と判断
     ア 医療事故が発生した場合は、次のとおり直ちに院長まで報告する。各医師・所属長は医療安全管理者にも報告し、医療安全管理者は医療安全管理室室長(副院長)に報告する。
      ① 医師 ⇒ 医療安全管理室室長(副院長) ⇒ 院長 ⇒ 医療安全管理者
      ② 看護部職員 ⇒ 看護師長 ⇒ 看護部長 ⇒ 院長 ⇒ 医療安全管理者 ⇒ 医療安全管理室室長
      ③ 医療技術部職員 ⇒ 所属長 ⇒ 医療技術部長 ⇒ 院長 ⇒ 医療安全管理者 ⇒ 医療安全管理室室長
      ④ 事務部職員 ⇒ 所属長 ⇒ 事務長 ⇒ 院長 ⇒ 医療安全管理者 ⇒ 医療安全管理室室長
     イ 患者の生死に関わる医療事故等、特に緊急的な対応が必要な場合においては、直面した各職員は、それぞれ各所属長などに直ちに連絡ができない場合は、直接、各部門長、医療安全管理者、院長などに報告する。
     ウ 院長は必要に応じて医療事故処理・調査委員会及び、医療安全管理委員会を緊急招集・開催し、医療事故に該当するかを協議・判断するとともに今後の対応策を検討する。
     (2)院内における報告の方法
    報告は、文書(「アクシデント報告書、重大事故報告書」)により行う。ただし、緊急を要する場合は、直ちに口頭で報告し、その後文書による報告を速やかに行う。
    なお、アクシデント報告書の記載は、①事故発生の直接の原因となった当事者が明確な場合には、当該本人、②その他の者が事故を発見した場合には、発見者が行う。 重大事故報告書の記載は、所属長が行う。
    死亡事例が発生した場合には、主治医・担当医が院内死亡の即時報告書を作成し報告する。
    (3)事故発生後の対応
    病院長は医療に係る重大事例が発生した場合、医療事故処理・調査委員会を設置し、医療事故に際した審議を行う。以下の内容を審議する。
      ア 事例概要共有
      イ 解剖・死亡時画像診断の必要性の判断
      ウ 医療事故調査(院内調査)の判断
      エ 医療事故か否かの判断(医療事故調査・支援センターへの報告判断)
      オ 警察・行政への報告の必要性の判断
      カ 公表の有無および公表の方法の決定
      キ 患者・遺族への対応者の決定
      ク 対外的な窓口の決定
    (4)外部機関への報告
      ア 病院長は医療に係る重大事例が発生した場合、医療事故報告書を速やかに医療事故調査・支援センターへ報告する。また、病院長が医療事故調査等支援団体への支援を頂くか判断し、必要と判断した場合は支援団体の支援を得て院内調査を行う。
      イ 報告を要する医療事故の範囲
        ①当該行為によって患者を死に至らしめ、または死に至らしめる可能性があるとき。
        ②当該行為によって患者に重大若しくは不可逆的障害を与え、または与える可能性があるとき。
        ③その他患者等から抗議を受けたケースや医事紛争に発展する可能性があると認められるとき。
    (5)医療事故報告書の保管
    医療事故に関する報告書については、医療安全管理室において、同報告書の記載日が属する年度の翌年度から起算して5年間保管する。
  3. 患者・家族への対応
    患者に対しては誠心誠意治療に専念するとともに、患者及び家族に対しては、誠意をもって事故の説明等を行う。患者及び家族に対する説明は、原則として、病院の幹部職員が対応することとし、その際、病状などの詳細な説明ができる担当医師が同席する。なお、状況に応じ、医療安全管理者、部門の管理責任者等も同席して対応する。
  4. 事実経過の記録
     ア 医師、看護師等は、患者の状況、処置の方法、患者及び家族への説明内容などを、診療録、看護記録等に詳細に記載する。
     イ 記録に当たっては、具体的に以下の事項に留意する。
       ①初期対応が終了次第、速やかに記載すること
       ②事故の種類、患者の状況に応じ、出来る限り経時的に記載を行うこと
       ③事実を客観的かつ正確に記載すること(想像や憶測に基づく記載を行わない)
  5. 警察署への届け出
    ア 医療過誤によって死亡又は障害が発生したことが明白な場合には、速やかに所轄警察署に届出を行う。
    イ 医療過誤の疑いがある場合には、届出について医療事故処理・調査委員会と協議・検討を行い対応する。
    ウ 届出を行うに当たっては、事前に患者、家族に説明を行う。

第7条 医療事故の評価と医療安全対策への反映

  1. 医療事故が発生した場合、委員会において、事故の原因分析など、以下の事項について評価検討を加え、その後の医療安全対策への反映を図るものとする。
    ア 医療事故報告に基づく事例の原因分析
    イ 発生した事故について、組織としての責任体制の検証
    ウ これまでに講じてきた医療安全対策の効果
    エ 同様の医療事故事例を含めた検討
    オ 「医薬品・医療用具等安全性情報」への報告及び医療機器メーカ―への機器改善要求
    カ その他、医療安全対策の推進に関する事項
  2.  医療事故の効果的な分析を行い、事故の再発防止に資することができるよう、必要に応じて、根本的原因分析などを行い、より詳細な評価分析を行う。重大事故の場合、委員に外部委員を含む事故調査委員会の設置を考慮する。
  3. 医療事故の原因分析等については、委員会で十分に検討した結果を事故報告書に記載する。

第8条 その他医療安全の推進のために必要な基本方針

  常に安全管理体制の点検・見直しを行い、組織横断的に連携をとり、情報の共有化を図りながら医療の安全性の向上に努める。

2025年12月改定 医療安全管理室