アルツハイマー病の進行を緩やかにする新しい注射薬が登場しました。
新しい作用機序を持つアルツハイマー病による軽度認知障害の治療薬です。
軽度アルツハイマー型認知症に対し、既に内服治療を開始している方も治療を行う事ができます。
当薬剤は厚生労働省が定めた最適使用推進ガイドラインを守って使用することとなっており、当グループではこの薬を安全・適正に使用できるよう、初期認知症治療外来を設置しています。
受診について
受診から投与までは以下のような流れとなります。
「沼田クリニック」または「吾妻脳神経外科循環器科」外来を受診
まずは当グループの外来診療部門である、沼田クリニック、または吾妻脳神経外科の外来を受診してください。
診療担当者がお話を伺い、投与開始前チェックシートをもとに問診や、簡単な記憶力の評価、適応について判断すべく、頭部MRIによる評価を行います。
※問診、検査結果次第では、ご希望に添えない場合もあります。
初期認知症治療外来の予約
投与対象はアルツハイマー病による軽度認知障害または認知症に限定されます。
すなわち、アルツハイマー病以外による認知症の方や、アルツハイマー病による認知症であっても症状が進行している方は、受診の結果、投与対象外と判定される場合があります。投与対象の可能性があり、投与を希望される場合は、投与を専門的に検討するため、沼田脳神経外科循環器科病院にて初期認知症治療外来へ受診をご案内させていただきます。
初期認知症外来にてさらに詳しい検査の実施
投与対象は臨床診断に加えて、様々な検査によって厳格に規定されています。
特に重要なのが脳へのアミロイドβの蓄積が認められることです。アミロイドβの蓄積を証明する検査としては、アミロイドPETという核医学検査と髄液検査があります。専門医が総合的に検討し適切な検査を行い、投与の対象に該当するか否かを判断します。
※アミロイドPET検査は専用の設備が必要となるため、県内の医療機関(群馬大学医学部附属病院、真木病院、県立がんセンター、藤岡総合病院 等) へご紹介させていただきます。アミロイドPET検査は保険適応の検査ですが、70歳以上の一般所得層(一割負担)の方で1万3千円の自己負担が発生します。また検査には放射性医薬品を使用します。使用期限の非常に短い特殊な薬剤のため、当日の検査キャンセルにつきましては、キャンセル料(検査薬剤料+手数料)として検査を予約した医療機関より約20万円を請求させていただきますので予めご了承下さい。
※髄液検査を行う際には腰椎穿刺が必要となります。腰椎穿刺は基本的な医療技術の一つであり、適切な手順を踏めば比較的安全な手技ですが、まれに合併症が生じます。より安全に検査を行うため、検査に際し短期入院をご案内しております。
投与開始
現在、日本国内にて保険適応となっている薬剤は、レカネマブ(レケンビ®)です。この注射薬は、2週間に一度、静脈点滴で投与します。
点滴にかかる時間は約1時間です。初回投与時は、投与終了から1時間程度、観察のため院内にて待機していただきます。投与後に発熱や関節の痛みといったアレルギー反応が出る場合がありますので、解熱鎮痛剤を処方します。また、投与開始から半年程度は脳の腫れや脳の出血などの副反応を生じる可能性があるため、定期的なMRI検査が必要です。
以上が大まかな流れとなります。
投与を希望される方は、まずは「沼田クリニック」または「吾妻脳神経外科循環器科」外来へお越し下さい。
治療に際する医療費について
レカネマブ(レケンビ®)は、2週間毎の点滴を1年半継続して行う治療となります。
保険診療の適応となる治療です。自己負担額は実際の投与量や、加入されている健康保険、世帯年収等により変化します。
自己負担の目安
体重が50キロの人の場合、年間費用は298万円になる見込みです。
高額療養費制度により、70歳以上の一般所得層(年収約370万円以下、住民税非課税世帯を除く)の場合、外来による負担額の上限は年間で14万4000円程となります。
受診までの手続きや医療費につきまして、ご不明な点などありましたら各窓口へお問い合わせ下さい。
お問い合わせ
受診までの手続きや医療費につきまして、ご不明な点などありましたら各窓口へお問い合わせ下さい。
<初めての受診に関するお問合せ>
- 沼田クリニック 0278-22-1188(診療情報課)
- 吾妻脳神経外科循環器科 0279-68-5211(診療情報課)
<薬剤、費用に関するお問い合わせ>
- 沼田脳神経外科循環器科病院 0278-22-5052(医療・介護総合支援センター)