日頃の不満や漠然とした不安など感じていたり、自分の思いが上手く伝わらず苛立ちを感じていたりすると、叫んだり攻撃的になることがあります。

 例えば「病院に行きたくない!」「私はもの忘れなんてない!」というのは、「自分が認知症だなんて認めたくない」という本人の意思です。認知症であると申告された事によるやり場のない怒りや不安などから、自尊心を守るための自衛行動とも言えます。「自分は認知症である」と受け入れられる方はそう多くないでしょうし、家族でもあってもそれを認めるのは難しい事です。

 認知症の方の本当の気持ちを理解・知ることは非常に難しいことですが、病気に対する不安や言葉にできない怒り、悲しみが表に出てきたものだと考えれば、相手の気持ちに寄り添った対応につながると思います。

 このような時には、相手の話をよく聞いてあげたり、別の人に対応してもらったり、本人が落ち着ける環境へ移動してみたりしては、いかがでしょうか。

 専門的な言葉を用いれば「人的・物的環境を変える」ことで、症状を低減することができるでしょう。

 その他にも、排泄の介助を行おうとしたら怒られた場合に、人前で服を脱がされた、いきなりズボンを下ろされた、なんて感じれば誰だって怒りますよね。

 「ズボンが濡れて(汚れて)いますよ、着替えませんか」と、誘導してみてはいかがでしょうか。

 また介助者の行動が易怒性を助長することが知られています。

 Dementia Care Mapping(DCM法・認知症ケアマッピング)によると、

  • だます・欺く
  • できることをさせない
  • 子供扱い
  • 怖がらせる・脅す
  • 区別する
  • 差別する
  • 急がせる
  • 理解しようとしない
  • のけ者・仲間はずれ
  • もの扱い
  • 無視する
  • 強制させる・無理強いさせる
  • 後回しにする
  • 非難する
  • 途中でやめさせる
  • からかう
  • 侮辱する・馬鹿にする

 このようなことをされたら、誰だって頭にきます。

 「認知症だから何もできないだろう・わからないだろう」という誤った思い込みにより、誤ったケアを行っている可能性があります。

 上記の排泄介助の例も、「できることをさせない・もの扱い・無視する・強制させる」に該当する行動をしたから、怒られたのではないでしょうか。