虫歯の治療

虫歯の基本

 お口の中に生息している細菌 (ミュータンス菌など) が、糖質を分解し、酸を作ります。その酸により歯が溶かされてしまった状態を虫歯と呼びます。
虫歯は次に示す段階をたどります。

C0 エナメル質 (歯の表面の硬い部位)の表面がわずかに溶けた状態です。再石灰化し元に戻る可能性がありますが、虫歯が進行する可能性もあるため、ブラッシング指導やフッ素塗布などを受けたほうが良いと考えます。
C1 エナメル質に限局した初期の虫歯。C0とは異なり元には戻りません。基本的にここからは、治療の対象になります。
C2 虫歯が進行しエナメル質の奥にある象牙質に達したもの。冷たいものでしみたりします。
C3 虫歯が神経に達し、炎症を起こします。激痛が起こる場合はここまで進行しており、根管治療(根っこの治療)が必要になります。
C4 虫歯がさらに進行し、歯根のみが残った状態です。治療は不可能で、抜歯をするしかありません。

虫歯の進行模式図

虫歯の治療方法

レジン充填

 虫歯の部分を削り、削った部分を補綴物で埋める治療です。


インレー

 虫歯を削った後に型を採り、修復物を作成し、歯科用の接着剤で装着します。


根管治療(根っこの治療)

 虫歯が進行し細菌が歯の歯髄(いわゆる神経の部分)にまで達し、歯髄が炎症を起こすと、歯髄炎と呼ばれる状態になります。ここまで虫歯が進行してしまうと、炎症を起こした歯髄を除去し、人工の材料を詰める治療が必要となり、根管治療と呼ばれます。

 この治療は時間がかかるため、ずっと歯科に通っているけどまだ治らないという場合は、この根管治療を行っているかもしれません。軽度であれば、2~3回の通院で済みますが、重度になると2~3ヶ月を要する場合があります。

 また細菌感染している歯髄を完全に除去することは難しく、少しでも残ってしまった場合には後々トラブルが出てきてしまうことがあります。

 後からトラブルが出てきてしまった場合は、先の治療で行った詰め物などは作り直す必要があり、最悪の場合は抜歯することもあります。

 ですので、虫歯を作らないことも大切ですが、放置せず早めに治療することも自分の歯を守る上で重要です。


歯髄炎

 う蝕が進行し細菌が歯の歯髄(いわゆる神経の部分)に感染し、歯髄が炎症を起こした状態です。

根尖性歯周炎

 歯髄炎がさらに進行し、歯根の先の骨の中に炎症が起きた状態です。また、以前に根管治療を行った歯牙でも根管内に細菌が残っていたり、何らかの理由で再感染をすることにより、根尖に炎症を起こすことがあります。再度、根管治療を行う必要になります。

根管治療の模式図
 う蝕が大きく神経にまで達していた場合、細菌に感染した神経を除去・消毒し、お薬を詰めます。その後は、補綴治療(歯冠部の治療:クラウンなど)になります。



詰め物の種類・補綴物の素材

種類 説明 審美性 耐久性 費用
銀色 パラジウム合金 一般的に使われる金属製の詰め物です。
耐久性が高く、強い力のかかる奥歯に使用できます。
特に要望がなければ、これが使用される可能性が高いです。
× 健康保険 
使用可能
銀色 ニッケルクロム合金 金属製の詰め物です。
保険適応ですが、金属アレルギーを起こしやすいと言われているため、あまり使用されていません。
× 健康保険 
使用可能
金色 金合金 金・白金を使った合金の詰め物です。
金属アレルギーを起こしにくいですが、自費となってしまいます。
1本 
4万円から
白色 コンポジットレジン 白色のプラスチック製の詰め物です。
白色のため、治療跡は目立ちにくく、欠けても修理が比較的簡単です。
プラスチック製のため、欠けたり、変色しやすい特徴があります。
健康保険 
使用可能
白色 エステニア
ハイブリットセラミックス
セラミックスとプラスチックの混合材です。
歯の色に近く、見た目もきれい、比較的耐久力がある。
しかし、プラスチックを含むため変色しやすいです。
1本 
2万円から
白色 メタルボンド セラミックスの被せ物に金属で裏打ちしてある素材です。セラミックスの特徴の美しさと、金属の高い強度を持ち合わせており、奥歯にも使用できます。
金属を使うため金属アレルギーの心配があります。
1本 
7万円から
白色 オールセラミックス オールセラミックス製の詰め物です。
天然の歯に近い透明感のある仕上がりになるため、審美性は大変良く、ほとんど変色しません。
しかし他の素材に比べて歯を削る量が多く、セラミックスのため摩耗に強く欠けやすいです。
1本 
12万円から