脳卒中・心臓病・喘息・アレルギーなどの全身疾患をお持ちの方へ
当科では、かかりつけ医や専門医との密な連携体制(病名・現在の病状・内服薬・検査値の照会など)のもと歯科治療を行っています。アレルギーや喘息などの全身疾患をお持ちの方や、お薬を服用中の方で歯科治療に不安のある方は、なんでも気軽にご相談ください。
抗血栓薬(血液が固まりにくいお薬)を内服中の方
当院では、沼田クリニック医科の患者さんはもちろんのこと、沼田脳神経外科循環器科病院、吾妻脳神経外科循環器科の関連施設ということもあり脳梗塞や心筋梗塞、不整脈などで抗血小板剤・抗血栓薬(血液が固まりにくいお薬)を内服中の患者さんが多く受診いたします。
抗血小板剤・抗血栓薬を内服中の患者さんでは、出血を心配しお薬を数日間止めたあとに抜歯など観血処置を行うことが、慣習化されていました。しかし最近では、お薬を休まなくても、適切な止血処置により止血は可能であり、術後の出血のリスクは、お薬を飲んでいない方と大差がありません。むしろ、休薬中に生じる血栓症(脳梗塞や心筋梗塞)が問題視される傾向にあります。
このような状況をふまえ、お薬を内服されている患者さんの観血処置を原則的に休まずに行っております。そして観血処置後の出血に関しては、創の縫合や局所止血剤の使用、止血装置(止血シーネ)などの止血対策をとっております。
高血圧症・心臓病・腎臓病などの慢性疾患がある方
内科や循環器科、泌尿器科(歯科と分け、医科と呼ばれます)などから、内服治療を受けられている方も多く通院されております。
当院は医科と歯科が併設されているため、すでに内服治療が行われている患者さんが紹介されて、受診されることが多いです。
その他、慢性疾患・全身疾患があるため、歯科治療を迷っているなどありましたら、ぜひご相談下さい。
バイタルサイン(血圧・心拍数・呼吸状態)のチェック
アレルギーや喘息、高血圧や心臓疾患など種々の疾患にて、全身状態を評価・記録する必要があると判断した場合は、バイタルサイン(血圧・心電図・呼吸状態)をモニタリングしながら治療を行います。
また急変時に備えて、救急カート(必要な薬剤や器具をひとつにまとめたカート)や、内科医・循環器科医などとすぐに対応ができる体制をとっております。また沼田脳神経外科循環器科病院へ、直ちに救急搬送・入院治療が行えます。
静脈内鎮静法・笑気麻酔による鎮静
痛くない治療・無痛治療を行うために、静脈内鎮静・笑気麻酔を使った治療も行っています。
静脈内鎮静とは、静脈から麻酔薬を投与し鎮静状態(全身麻酔ではありませんが、半分眠った状態)にし、手術や歯科治療を行います。また笑気麻酔(鼻にマスクをあてがい麻酔ガスを吸ってもらい鎮静させる)方法を併用した治療も行っています。
注意:静脈内鎮静・笑気麻酔ともに術後は、“ぼ~っとした状態”になりますので十分麻酔が覚めるまで当院で待機していただく必要があり、鎮静法後は車の運転を控えて頂きます。
糖尿病と歯科治療
糖尿病では、全身の血管の障害を中心にあらゆる組織・臓器に障害が起こります。毛細血管の障害が原因で起こる、網膜症、腎臓病、神経障害 (三大合併症)と、ある程度太い血管を中心とした動脈硬化による脳卒中、心筋梗塞、狭心症などがあります。
糖尿病と歯科治療でとはあまり関係ないのでは?と思われるかもしれませんが、口腔内にも色々影響があり、特に歯周病と糖尿病は関連があると言われています。
毛細血管が傷害されると、歯肉などの歯周組織の血流が悪くなることにより歯周病が悪化しやすくなり、血流が悪いため治療効果も悪くなってしまいます。一方、歯周病の管理が不十分だと糖尿病の管理にも影響を及ぼすと言われており、糖尿病の治療担当医師と連携し、口腔内の継続的な管理を行うようにしています。
喘息・アスピリン喘息
歯を削る、麻酔をするなど歯科治療のほとんどは不快なものだと思います。特に喘息発作は、そういったストレスや歯科で使用する薬剤の臭いなどでも、誘発される可能性があり注意が必要ですので、ストレスをかけない配慮を心がけております。
また喘息の状態によっては、治療内容・治療時間に関しての配慮が必要と考えており、必要に応じて上記のバイタルサインのチェックを行いながら、治療をします。
当院にも喘息の治療薬は常備してありますが、歯科治療でお越しの際には、念のため普段使用されている吸入薬を持参していただければと思います。
歯科領域で使用する鎮痛作用の高い痛み止めは、喘息発作(アスピリン喘息)を誘発する可能性があります。そのため、漢方による鎮痛剤や塩基性非ステロイド性消炎鎮痛剤などの、アスピリン喘息の患者さんに対して、発作を起こす可能性の低く安全性の高いとされるこれらの鎮痛薬を処方する方針としています。
歯科治療をより安心して行うために、予約時や来院時に「アスピリン喘息がある・気管支喘息がある」と、おっしゃって頂きますようお願いします。また、喘息でかかられている医療機関からの紹介状がありますと、よりスムーズに歯科治療を行うことができます。
金属アレルギー
虫歯の治療では、様々な金属や陶材、強化プラスチックを使用します。また、取り外しの義歯には強化プラスチックや金属を使用します。
歯科治療で使用する人工材料には、アレルギー反応が起こりづらい材料を使っています。また歯科材料のアレルギーが疑われた、疑われる場合は、当院の皮膚科に、パッチテストなどの検査を依頼しております。